RPAで楽々処理!紙の請求書も自動で記帳してデータ化
企業における総務部や人事部、そして経理部などのバックオフィス部門は、売上を上げることと直結する部門ではないものの、企業の中でなくてはならない重要な部門です。しかし、これらの部門は多くの場合(特に中小企業規模の場合)、総務部としてまとめられ、少人数でさまざまな業務を兼任するケースがほとんどではないでしょうか。
そして、経理部においては、毎日の事務処理の積み重ねが重要であるとともに、会計レポート作成や支払い確認を数人で対応していることも珍しくありません。
経理のルーチン業務はRPAで効率化できる
経理業務というのは、管理者を除く担当者レベルにおいては、その仕事のほとんどがルーチン業務です。単純ながらも煩雑な事務処理作業は非常に時間がかかるものです。
こうした経理のルーチン業務を、ロボット(ソフトウエア)を活用して自動化し、業務効率化を実現するのがRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)による業務改善の取り組みです。
ここでは、RPAによって、会計レポートや支払い確認の事務処理がどのように効率化できるのかについて事例をもとにご紹介します。
日々の記帳業務やダブルチェックにかかる時間は企業活動に比例して増える
経理業務というのは、日々の積み重ねが重要です。毎日報告される売上・仕入・経費など企業活動で生じるさまざまな取引の流れを一つ一つ帳簿に記録して、会計管理や支払管理を行います。それぞれは小さな作業であっても、1日分、1週間分、1か月分となるとぼう大な分量です。
しかも、お金を取り扱う業務のため、1円たりとも間違うことはできません。金額の入力ミスや支払先の記載ミスがあると、自社の会計レポートで報告される数字の信頼性が損なわれたり、取引先に迷惑をかけたりする恐れがあります。
また、取引先から送られてくる請求書は、あらかじめ指定した締め支払日に従って、特定の時期にまとまって手元に集まってきます。そのため、経理担当者および管理者は、限られた時間の中で記載されたすべての情報をチェック・精査しなければなりません。
こうした経理業務の流れを分かりやすく整理すると、次のような流れになります。
- 報告された売上、送付されてきた請求書の情報を経理担当者が会計データ入力
- 請求書については、「1」と同時に支払い依頼票を作成
- 上司の承認をもらう、または差し戻し
- 月末に締めた会計データをもとにレポートを作成・配賦
- 支払期日に則って、銀行への支払いデータ作成
- 確認および承認後に取引先などの銀行口座への振込
データ入力(記帳業務)作業自体もたくさんありますが、各作業で行う確認工程も非常に多くなります。
- 入力された金額チェック
- 支払い取引先情報のチェック
- 支払い額のチェック
- 取引先などの銀行口座情報のチェック
- 銀行への支払いデータの整合性チェック
多くの経理担当者とその上司が、これらのチェックをマンパワーで行っています。当然、人間が行う作業のため、ミスが発生することを見越して、別の担当者同士でのダブルチェック、トリプルチェックを組み込むのが一般的な業務フローです。その際も、モニター画面上での目視チェックだけでなく、紙にプリントアウトしてのチェック、金額などを読み上げながら情報を突き合わせるダブルチェックなど、二重三重のチェック手法をとることもあるようです。
こうした経理業務における記帳・チェック作業は、売上が伸び、企業活動が順調にいけばいくほど増えていくのが通常です。“うれしい悲鳴”ともいえますが、これまで説明してきたようにその多くは、入力・記録、チェックといった定型的な作業です。そこにこそ、飛躍的に業務効率化を図るポイントがあります。
RPAで学習させて、あとは自動処理!
経理業務にRPAを導入することで、会計伝票入力業務のような定型的な作業を自動化させることが可能です。最初に作業手順をロボットに覚えさせる必要があるものの、1度覚えさせれば、あとはロボットが認識して一連の処理を引き受けてくれます。
RPAを導入した企業では、例えば請求書受理の処理業務においては、次のような手順で自動化処理を行っています。
- 取引先からの請求書(紙・PDFデータ)をスキャナーで読み取る(※文字認識機能OCRを活用)
- 読み取った情報を自動で会計システムに入力する
- 入力データの検証を行う(ここは目検チェック入れる場合もあり)
- 総勘定元帳などへの転記を行う
- 請求書の受理メールを取引先へ自動送信する
人が行う作業は、一部自動で読み取れない請求書をスキャナーで取り込むことや、自動処理完了後の結果を確認するだけになります。RPAの導入により、かなりの時間をかけていた事務処理時間を、大幅に短縮することが可能になり、あわせて、人力による単純な入力・転記ミスがなくなることで、信頼性の高い帳簿情報が整備されることになります。
また、自動化の流れの中で総勘定元帳を作成することができるため、それをもとに各勘定科目の管理や財務諸表などへのデータ展開を行うことも可能です。販売支援システムなど他のシステムと連携することにより、銀行への振込情報や売上実績データの取り込みなども自動で行えます
まとめ
バックオフィス部門のひとつである経理部は、毎日とても多くのルーチン作業に追われています。しかし、これらの事務処理をひとつずつ処理しているからこそ、企業は健全に成長することができます。
既存のルーチン業務の効率化を図り、本来、経理担当者に取り組んで欲しい経費の圧縮化や税務対策などを進めるためには、大胆な業務改善が必要となります。
今回ご紹介したRPA導入の事例で見たように、経理業務のルーチン作業の多くは自動化することができます。業務効率化によって得られた時間を有意義に活用すれば、よりよい業務環境の実現が期待できるでしょう。